狂奏曲~コンチェルト~
「信号赤なのに、まっすぐ車に向かってくんだぜ? 自殺かな」
「うわ、どうなった? それ」
「そりゃ車に撥ね飛ばされたさ」
私はまさかと思いながら、その会話に耳をそばだてた。
「そいつ、うちの大学のやつでさ」
「まじかよ」
「知ってるかな、ほら、頭灰色の」
え……
「あ、あいつか!知ってる知ってる」
そんな……
「でもさ、あいつって色がわからないとか聞いたことあるけど」
「まじか! それじゃあ、あれ自殺じゃなくて、事故?」
「でも、車来たらわかるんじゃねぇの?」
私は、構わずその二人の方へ走っていった。
「どこ!」
「うわっ……」
「何だよ!」
二人は驚いて私を見た。
「その事故、どこでのことなの!」
「と……隣町だよ」
「隣町!?」
「そう……」
「本郷さん……っ」
つかみ掛かりそうな勢いだった私を、冴島さんが押さえ込んだ。
「ありがとう……!」
「お、おう」
二人組みは逃げるようにその場を去った。