狂奏曲~コンチェルト~

「名前だよ」
「あ」

 そっか。呼び方変えたんだった。

「二階堂さん、って言いにくいから」
「ふーん?」
「もうっ、からかわないでよ」

 お兄ちゃんの視線から逃れるように、私は自分の部屋に入った。
 少し翼君にときめいている私の本心を見られたくなかったから。

 ベッドに倒れこむようにダイブした私は、ため息をついた。
 目を閉じると、優しく微笑む翼君の顔が頭に浮かぶ。
 そのことに恐怖に似た感情を覚えて、私は目を開けた。

 私には、新がいるのに。
 こんなの駄目だよね……。


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