激甘男子の愛し方


『可愛い』とか『大切』とか、そんなセリフを当たり前のように言っていたのに、今は全く言えなくなった。



それは俺の心に変化が起きたから……



いや、正確に言うと気付いたからと言うべきなのか……




「あ、洸。今日からあたし放課後一緒に帰れない」



「は……?」



「ちょっと用事が出来て……ごめん」



「なん……っ、わかった」




詳しく聞けない。



前の俺だったら、ズバズバ聞いてたのにな。



今思うと、相当前の俺はウザいヤツだったよな―……



遠慮なしだった自分がすごく恥ずかしく思えて、こぶしをギュッと握った。



―――――――……



「じゃあ俺帰るわ」



いつも通りの授業を終えて、ほとんど何も入ってないカバンを持ち明良に声をかける。




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