激甘男子の愛し方



「明良、俺いくな」



「あぁ、行ってこい」




走って教室を出た。



まるであの時みたいに……



真子をあいつに奪われるかもという、あの時みたいに……




奪われるという気持ちは変わらない。



でも、不思議と焦りより感じるのは……真子に会いたいという気持ち。




会って、あの温かい体温を俺の腕に抱きしめたいということだけだった……




あいつの呼び出す場所はなんとなくあそこだと思った。



調理室につき、ひそかに聞こえる声。



「やぁっ―……」



今の真子の声!?



――ガラッ



とっさにドアに手をかけて、勢いよく開けた。



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