ハレイロ


高校時代。

僕はノリにノっていた。


日常で風邪を引く程度はあるにしろ、大きな病気の類にはかからなかった。


だから、君とも普通に青春できたし、普通に部活に参加できた。



だからかも知れない。


誰も居なくなった放課後。
夕日ももう沈みきりそうな時間。

僕は川原で走っていた。

こんなに走れるのが、嬉しかったんだ。

いつもなら、親に止められる。
喘息が発病するかも知れないから、と。
でも、今はとめないでくれている。

それが何よりも嬉しい。

嬉しいことは、もう一つ。

川原での自主練。
土手のところには、君の姿。
君はもうすぐ真っ暗になると言うのに、本を読んでいた。

あの姿が、本当に好きだった。


あの姿を見るために、自主練してたのかも。

「お待たせ。」

そういって、僕が自主練を切り上げると、君はすぐに本をしまって僕に言う。

「お疲れ様。体調は大丈夫??」

「うん。今日も待たせてゴメンな。」

「ううん。私が待ちたいから待ってるだけだから、気にしないで。」

そういって、優しく微笑んでくれた。

今でも昨日のように思い出せる。




試合の時だってそうだ。

僕が走り終わるのを、待ち構えて、控え室でタオルを渡してくれる。


本当に、この頃から、君は僕のPARTNERだったな…。





< 17 / 24 >

この作品をシェア

pagetop