シュガーレスキス
「嘘だと思ってます?じゃあ4月の人事異動の発表楽しみにしといてください、俺の言葉が嘘じゃないって分かると思いますから」

 結局タバコには火をつけないまま、如月はそれが言いたかったという感じで休憩室を出て行った。

「はぁー……」

 ため息がもれる。
 菜恵がまたもや狙われている。
 間違いない、菜恵はああいう独占欲の強そうな変な男にやたら好かれるんだ。

 やっと八木が片付いたと思ったのに……。

 こういう訳で、焦った俺は菜恵にちょっと体の関係を強めに迫った。
 別に何が何でもという訳じゃなかったんだけれど、菜恵にとって俺は特別で絶対離れない存在なんだと体で感じたかった。
 でも、あんなに怖がられたんじゃあ、進めようが無い。
 もっと研究の余地ありか……研究なんかしようがないんだが。

 人事の知り合いにこっそり聞いて、菜恵が本当に営業に引き抜かれそうだというのは確認した。
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