シュガーレスキス
「どうぞ、これはお腹の子にあげるんだからな。菜恵はギョーザの罪でしばらく謹慎してろ」

 冗談混じりにそう言って、チャーハンの皿を戻してやる。

「ありがとう!……ってお腹の子が言ってます」

 そう言って、菜恵は嬉しそうにチャーハンを食べ始めた。

 すっかり自然な空気になった俺達を感じる。
 テンポのいい会話と菜恵の可愛い態度。これだけ揃ってれば、俺は毎晩でもメシぐらい作ってやってもいいんだ……なんて思ったりする。

 菜恵、俺の手元に残ってくれてありがとう。

 こんな恥ずかしい言葉は簡単に出ては来ないけど、君と一緒にいた思い出を一つ思い出す度に俺は“思い出の箱”にその事を丁寧に詰めていくから。
 そして、その箱があふれそうになった頃に、また菜恵に対する愛を語ろうって思うよ。

 菜恵との幸せな時間が過ぎてゆく。
< 246 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop