シュガーレスキス
■第2章(4話)

1-1 命(SIDE奈恵)

SIDE 奈恵

 秋というのは、心が少し寂しくなるのはどうしてなんだろう。
 毎日散歩する公園の様子が、少しずつ気配を変えていくのを私は見つめる。
 青々して生命力にあふれていた木々の葉が、少しずつ黄色から赤へと変化を見せる。

 そうか、秋が寂しいのは、生命が少しだけ力を失ったように見えるからなんだ。
 でも、来年の春にはまた新しい芽が吹いてくるんだよね。

 こんな事を毎日考えて過ごしている私。
 職場への復帰はまだ保留だけれど、来年出産してみてから考えても遅くないかなと思っている。
 如月さんとの仕事はやりがいがあったし、続けられるなら……そうしたいけど。

 如月さんとの関係は、すっかり同僚っていうものに変わっていて、彼は時々からかいのメールを入れてくる。
 “ギャンブラーの会に補欠が入った。早く復帰しないとレギュラーとられるぞ!“
 なんて……すっかり俺様な彼に戻っている。
 聡彦を好きになってなければ、多分私はこの人に心が揺れていただろうなというのはある。
 あれだけ強く好意を伝えられたのも初めてだったし。
 でも、こんな事言うと聡彦がまたふてくされるから、口外はしていない。
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