シュガーレスキス
 私はやや不安になって、聡彦に電話をしていた。

「菜恵、どうした?」

 すぐに携帯に出てくれた彼の声は、何事かと驚いている。

「ごめんね、ちょっとお腹が痛くて。夕飯作れないと思うから何か買ってきて」
「え、病院行かなくて大丈夫なの?」

 会社だっていうのに、結構な大声で心配している。

「うん。横になって安静にしてるから」
「早めに仕事終わらせて帰るから。また連絡する」

 そう言って、聡彦の電話は慌しく切れた。

 会社に出て行くなんて余計な事をして、聡彦には怒られるかもしれないな。
 いきなりバスになんか乗ったから、赤ちゃんもビックリしたのかな。
 
 ごめんね、無茶なママで。

 子供を産むというのは、天から授かった新しい命を1年かけて守る重大な仕事なのだという事を、私は痛感していた。
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