シュガーレスキス
 部長の後ろにいたスーツ姿の若くて素敵な男性が、満面の笑みで私達にペコリと頭を下げた。

「今紹介いただきました八木修二といいます。とてもチーフとかいうキャラじゃないんですが、こちらの4人の受付の方と一緒に資料館を支えようと思ってますんで、どうぞよろしく」

 ハキハキとしたよどみのない声質で、八木さんは私達受付業務をする女性社員にそれぞれ握手を求めた。

「よろしくお願いします」

 沙紀がめずらしく顔を赤くして、彼の手を握っている。
 これだけのイケメンなら、確かに手に触れただけで赤くなる気持ちも分かる。
 私も握手をしたけど、聡彦の冷たい手と違って、ちょっとホコッとするような柔らかい手だった。
 男性っぽくないっていうか、すごく綺麗な手だ。

 こんな訳で、唐突に私達女4人だけで回していた資料館に急遽チーフ室というのが出来て、そこで八木さんは資料館の事を色々束ねることになった。

 突然入って来た若いイケメン社員の事は、たちまち社内に広まって、意味もなく女性職員が資料館を訪れるようになった。
 今までは聡彦がトップに躍り出ていた男性社員人気ランキングの1位が入れ替わったようだ。
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