シュガーレスキス
 でも、好きな事とか好きな曲とか……一つ一つに自分のこだわりを主張しながら私に語ってくれた。
 なかなか笑顔にならない聡彦の顔が、趣味の話しになるとちょっとほころんだ。
 私がオタクだっていうのも実は彼はそれなりに評価してくれていて、「何でもいいから、一つでも好きな事があるなら、大事にしたほうがいいよ」って言ってくれたのも思い出したよ。

 私は訳もなく聡彦を好きになったんじゃない。
 外見がいいだけなら、それこそ八木さんを好きになると思う。
 あの人は外見だけじゃなくて性格も優しいし、いつでも柔和な微笑みをたたえているから。

 でも私は聡彦が好きだ。

 暴言吐いたかと思うと、それを後悔してどしゃぶりの中立ってるようなお馬鹿な一面まで見せられて、私の心は固定されてしまった。
 3番目だなんて大嘘ついて。
 本当は私が一番だなんて、何で今更言ってくるかな。
 最初から素直に言って欲しかったよ。

「菜恵、愛してるよ。好きだよ」って。

 絶対言わないんだよね……本当に強情な人だわ。
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