シュガーレスキス
「あ、ここのアイス美味しいよ」

 そう言うが早いか、彼は速攻で美味しそうなトッピングされたアイスを買ってきてくれた。

「ありがとうございます」

 私は甘いもの大好きだから、ダイエットという名前は聞かない事にしている。
 結構大きかったアイスだったのに、私は10分ほどでそれを食べ切ってしまった。

「すごく美味しそうだったね」

 私の食べている顔を見て、八木さんは嬉しそうに微笑んだ。

「ご馳走様です。すごく美味しかった……です?」

 何故か私の頬に彼が手を伸ばしてきたから、驚いた。
 フイッと私の口の横を撫でて「チョコ……ついてたよ」と言った。

 このスマートな動き、言葉、相当女性慣れしているな……という感じがした。

 柔和な性格を醸し出しているけれど、この人の手にかかったら恋に落ちるのに時間は要らない気がする。
 聡彦みたいに相手を威嚇して愛情表現するっていうのは、論外で……。
 あの人の場合、明らかに不器用なタイプだ。
 好きになればなるほど、態度がSになってゆくという……。

 それに比べたら八木さんのスマートさは、少し新鮮だった。
 もちろん、アイスくらいで心が揺れたわけじゃないけれど。
 八木さんのスマートさにやや感心してしまったのは事実だ。
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