あの夏の季節が僕に未来をくれた



「雅紀、今日はお父さんも早く帰れるみたいだから、進路のこと話し合おっか?」


朝の、まだホカホカの白いご飯に納豆をかけていたその瞬間。


母にそんなことを言われて、俺は目を瞬いた。


「……えっ?」


間抜けな声を出して、そう聞き返す。


だって俺、まだ進路のことなんか相談したことないのに……


なんで急に?


「だって、そろそろそういう時期なんじゃないの?

まあ、就職にしろ進学にしろ、お母さんは応援するつもりだけど

やっぱりお父さんも交えて一度、雅紀の気持ち聞いときたくて」


「あ……あぁ、うん

わかった……」


相変わらず我ながら言葉が足らないと思う。


母が俺の進路を気にしてくれていたことも、父を交えて話そうって言ってくれたことも。


すごく嬉しかったのに……


ずっと言いたくて言えなかった進学の話を、母の方から振ってくれたのだから助かった。


しかも就職にしろ進学にしろ応援するって言ってくれてるし。


進学したいって言いやすくなったことは有難い。


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