あの夏の季節が僕に未来をくれた
まさかそんなことがあるなんて、と。


それと同時に激しい嫉妬を覚えた。


もし、俺が先に気持ちを伝えてたなら、俺のものになったんじゃないかという思いが拭えない。


だって同じ顔なんだから……


容姿で選んだのなら、俺でもいいはずだ。


だけどそんな文句も言わせてもらえないままに、弟は逝ってしまった。


彼女は大丈夫なんだろうか……?


通夜にも告別式にも彼女の姿はなかったと思う。


ショックで来れなかったのか……


立場上、来ることが出来なかったのか……


それとも……知らなかったんだろうか……?


もしそうなら弟は彼女に酷なことをしていると思う。


勝手に気持ちを押し付けて、受け入れてもらったと思ったら自分から離れていったんだから。


それももう、二度と会えない場所に……



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