あの夏の季節が僕に未来をくれた
こうして俺の闇はどんどん深くなっていった。


弟を憎むことは自分がひどい人間になった気がして出来なかった。


だから俺は自分を嫌いになることで、自分がこんな人間だから愛されないんだと思うようになった。


それが弟にどれだけ心配かけてたかなんて、これっぽっちも思わずに……


俺は自分の殻に閉じ籠るようになり、他の誰とも一線を越えることはなかった。


いつもすました顔で、何にも動じてないようなふりをして、飄々と高校生活を過ごした。


それはいつも仲間と戯れていたあいつとは全く逆で、もしかしたら同じ顔でそうすることで弟に復讐していたのかもしれない。


あの夏の不思議な体験をするまでは……




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