ヤンヤンデレデレ
【世界は未だに、彼らだけではない】
昼のラッシュ時に、春限定メニューの『ストロベリーパフェましまし』という巨大パフェを、誉がけつまずいて床に撒き散らかした後の話。
床掃除終えたあとに、『今日はもう帰ってくださいっ』と懇願涙目店長からの命令が出たので誉は早い退社となるわけだが。
「いよぅ、ほまっちゃん!」
フレンドリーな声かけに相応しく、背後から誉の肩を触れようとし。
「い゛っ」
ハサミを突きつけられたのであっては、触れようとした手が止まる。
銃刀法違反守った刃渡り6㎝以下のハサミであっても、刃物には違いない。
瑞希からの提案で刃先にウルシを塗ってあるのは、刺された人にしか分からない周到ぶりである。
「……、あ、美奈(みな)ちゃん」
「危ないもんしまって。せっかくの笑顔が異常に見えるっ」
「ごめんごめん。一人で外にいると怖くって」
厚紙で制作した鞘で刃先を包み、ハサミをしまう。通りすがりの人はその異様な光景に足を止めたが、誉が笑顔で何でもなかったようにいるため、足を進めた。