ヤンヤンデレデレ
「瑞希さんは、何でも出来ますね」
「誉のためなら、何でも出来るよ」
「私が、何にも出来ないからですか」
切り分ける手が止まる。
「何か、言われた?」
「切るの迷っていたら、さっき子供に『なんで、できないの?』と言われました」
俯き加減では彼女の顔が見えないが、曇っているのは分かる。
そんなことはないと言っても良かったが、それよりももっといいやり方があったと瑞希は誉の手を取った。
包丁の柄を握る自身の手を彼女に握らせて。
「共同作業」
歌うように言ってみせた。
「何にも出来ないなんてことはないよ。“俺にこんなこと出来るのは、誉だけ”だからね」
切り終えたケーキ。一緒に切った(出来た)結果を見て、誉は安堵したように顔を上げた。