ヤンヤンデレデレ
「どう切ろうか迷っちゃって……」
切らなかったという誉に怒ることはせず、逆にそれでいいんだと、包丁を持つ。
「俺がやるよ。指切ったら大変だし」
誉がやりたいと言うからその意見を優先させたが、心配はあった。
「指を切ったら、血が出て、痛い思いもするし、痕が残るかもしれないからね。調理は危険なことだから、無理して誉がやることはないんだよ」
「それだったら、瑞希さんも包丁持って危ないです」
「大丈夫、俺は指を切らない」
「料理上手だからですか?」
「誉が泣くから」
切るわけにはいかない手が、ケーキの切り分け作業に移る。
均等に線引きされていくケーキを見ながら、おおーと拍手でもしそうな歓声を上げる誉。こんなことでと、こそばゆくも嬉しい瑞希の唇が緩む。