【完】俺に溺れろ!~最強ヤンキー君からのアイラブユー~
「澪……っ」
ズルい。
今までそんな風に呼んでくれた事なんて
なかったのに、こんな時に、そんな痺れ
るような声で私を呼ぶなんて。
嬉しいって、思っちゃうから。
だけど───……
「ちょ、さ、向坂くん……っ!?」
次の瞬間、嬉しいなんて感情、どこかに
飛んでいった。
するり、と服のしたから入ってきた、向
坂くんの手。
初めての事に、戸惑う。
「やだ……やめて…っ」
こんな……こんな向坂くん、知らない。
怖い……怖いよ!
ピタ、と向坂くんの動きが止まる。きっ
とそれは、
「ひっ……く…」
私が泣いているから。