†*†ヴァンパイア学園†*† 巫女姫×王子
白夜さんの部屋を出た後、私達は中庭に出た。
中庭は生前、冬夜のお母さんが毎日手入れをしていたらしく
今もそれは白夜さんが引き継ぎ、綺麗にされていた。
「綺麗。」
「この場所は、母さんのお気に入りの場所だったから。」
「そうなんだ。嬉しいな。」
小さな噴水のある池を中心に
いろいろな花々が咲き誇り、年中暗闇に包まれるこの世界の中で
この場所だけが光に溢れているような、温かな場所だった。
私達は、噴水の淵にあった石のベンチに横に並んで腰かける。
すると、どこから飛んできたのか
月明かりに照らされて青く輝く羽をひらひらと羽ばたかせながら
一羽の蝶々が、舞い降りてきて冬夜の周りを一周すると
またどこかへ飛んでいってしまった。
「もうすぐ、夏休みも終わりだな。」
「そっか。じゃぁ、スポーツ大会があるんだね。」
「あー、帰りたくねーな。準備とか、いろいろ颯斗に扱き使われそうだ。」
「だぁーめ。生徒会長でしょ?」