雪解けの水に潜む、紅



仰向けに倒れ、真っ青な空を見つめ。

真っ赤な血を流す私の元に誰よりも早く駆け寄って来たのはやはりジュディだった。


綺麗な髪、綺麗な目、綺麗なカオ。


・・・同じ、カオ・・・。



「泣、か・・・ない、で・・・。」
開いた口からは情けない程弱々しい声とヒュウヒュウという掠れた息。
顔や頭、首に落ちてくる大粒の涙。

震える腕をゆっくりと弟に伸ばした。


「姉さん!」
死んじゃダメ、死なないで・・・。そう繰り返す弟に笑いかける。

矢を引き抜き魔法で傷を治そうとしているジュディの姿が霞んでいく。


治らないのよ。
ドラゴンの牙は決して魔法じゃ治せない。
それを知らないジュディは何度も、何度も力を使っていた。

「酷い・・・こと、言って、
ごめん、ね・・・。あの、時・・・怪我、治して・・・く、ありが、と・・・。」



「わた、し・・・も・・・母さま・・・も・・・ジュ、ディ・・・のこ・・・ほん、とは・・・ずっと・・・・・・ずっ、と・・・。」







《大好きよ》


聞こえたかどうかは判らない。
だけど、暗くなった視界。落ちていく意識の中、

私を導くような弟の泣き声がいつまでも、いつまでも響いていた。




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