雪解けの水に潜む、紅



とても綺麗な、半透明でも判る。聡明な美女。
彼女たちの、母親。
薄らと目に涙を浮かべた弟くんは、震える唇で母さん。とだけ呟いていた。

「ジュディ。久しぶりね。」
疲れさえも感じさせないその笑みは、俺たちの凍ったような心を癒してくれた。
「ねぇ、ジュディ。お姉ちゃんを探してはダメよ。」
彼女のことを探す。それは彼にとってこれからの生涯を捧げるというようなものだ。

「あの子は、シルビアはずっと耐えてきたの。私の為に、あなたのために。家族を想って。解放してあげてちょうだい。ドラゴンの元で安らかに眠れるから。大丈夫、あの子は死んでもなお、とても強い子。だから私のようにゴーストになるなんて考えない。あの子はあなたを待っていてくれるわ。時が来て、あなたが亡くなったらきっと手を差し伸べてくれる。導いてくれる。・・・そしたら、今度こそ。幸せな家族になれるはずだから。」


不幸に苛まれ、家族はバラバラになってしまった。
だからこそ、来世は誰よりも幸せに。共に、生きることを。
彼女の姿は光に当てられ段々と薄れて消えていく。


「私は、あの子に願ってしまった。ゴーストになって皆とまだ話したいと。だけどあの子の命が尽きた今、私はもうこの世界に留まれない。ジュディ、死んだ人は決して居なくなりはしない。その人を心から信じ、愛する人が居る限り。誰も死にはしないの。あなたの心で、私もシルビアもお父さんも、生き続けているわ。」

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