雪解けの水に潜む、紅



あそこに何かあるの?
後ろから聞こえてきた小さな足音に慌てて瓦礫を駆け下りた。
レンガや鉄屑、木炭に混ざって釘も入っていたらしい。

突き出していた鋭い先端に思い切り足の指を刺した。


貫きはしなかったけれど、半分ほどまで入ってしまった釘を抜くのは包丁で心臓を刺すこと以上に難しいものだった。

あちこちに新たな血が噴出し、しっかりと穴が開いた親指を押さえひっそりと咲いていた
花を毟り、その茎で指の関節を縛った。

花びらで傷口を押さえると薄いピンクが深紅に染まった。
それはそれで綺麗なようにも見えるけど、それが私の血によるものだと思うと複雑だった。


「大丈夫か。」
とめどなく流れる血にDDが心配そうな声色で言う。
それに頷き、一歩足を踏み出すも鋭い痛みが襲う。
いつ誰が来るか判らないこの場所は、ろくに隠れる場所もない。


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