雪解けの水に潜む、紅



更にリトルマギーに良く似た生き物がいる。リトルバギーだ。
白い顎鬚がまるで小人のようだけど、彼らの本性は悪魔。リトルマギーのように幻想を見せるけれど、その後が違う。

リトルマギーたちは精神崩壊した人間たちを放っておく。

リトルバギーたちは狂った人を食べてしまう。


生きたまま、食べられてしまうのだ。リトルバギーの持つ鋭い毒牙によって噛み千切られ
る。

その痛みは、魂が無理やり肉体から引き剥がされるような鋭いものだと聞く。



「リトルバギーかもしれない。先を急ごう。」
彼らは精神崩壊するまでは決して出てこないし、手を出してこない。

とても臆病で小さな生き物だから、まともに戦うには相手が正常でない必要があるのだ。
先、と言っても見渡す限り花畑。
更に虹もかかりありえないほど暖かい。
冬の山とは思えないほどだ。
しかしその感覚すら幻想。
全くいい能力を持っていること。

リトルマギーたちの幻想は魔法じゃ打ち砕けない。



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