雪解けの水に潜む、紅



思わず叫んで手を離しそうになるが、傾く体に慌てて蔦に摑まった。
とにかく、今は先に急ぐべきか。
赤茶色のゴツゴツとした岩肌がまるで何かのモンスターのように見える。
「言っておくがこの先は喋るなよ。それから素早く俊敏に行け。」
DDの真剣な表情に何度も頷く。
岩肌が動いたからだ。まるで、何かが寝ていてその上を歩いているような。
そして、その予感は的中した。


蔦が絡まっていたのは、眠っている巨人の背中だった。
これから巨人の腹を通って向こうがわに行こうと言うのだ。
なんて危険な。
巨人はとても野蛮な生き物だ。
その大きな口で、ドラゴン数匹を丸呑みしてしまうくらい。


この山に巨人が住んでいるなんて聞いていない。
さすがのDDも恐怖に顔が歪んでいる。
ドラゴンの息吹さえも、彼らには効かないからだ。


小さなまち針が一本刺さった程度にしか感じない、感覚すらも鈍い。
ただ物音には敏感だ。

その巨体をノロノロ動かして大きな棍棒を持って間抜けな顔でこちらを見る。



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