雪解けの水に潜む、紅



私は消毒草と引っ付き草、それから冷却草を渡すと一通り説明して立ち上がった。
「あなたはもう大丈夫なはず。」
人々を助けてください。そう伝えて、敵の軍隊を抜け出した。


DDはいつの間にか蝙蝠になっている。


基地を抜けると、目指していたものはそこにあった。

まるで古城のような井出達に驚く。


「オレには見えない。」
「そんなぁ。」
「多分、お前しか入れない。ここで待っておく。」
「気をつけてね。」
私がDDを撫でると、お前も、と返された。
名残惜しかったけれど直ぐに戻ってくればいい。
彼のことは彼に任せよう。



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