Dead Flower



あの日から、毎日寒気がする。

毎日、彼女……、彼女、の視線を感じる、ような気がする。

それを感じる度に震え上がり、そんな毎日を送るだけで疲労がたまる。

おかげで身体が重く、目の下にはクマができる。



そして、紗英が死亡した後にも、クラスメートが2人ほど、亡くなった。

いずれも被害者の机には、意味深なパセリが置いてあった。












「……はあっ」

最近、階段をのぼるのもさらに苦痛に感じ始めた。

やっとの重いで階段をのぼりきり、一息つく。

静かな廊下を歩く。

コツ…、コツ……、と足音がこだまする。



「――…ッ!!?」


ふと、嫌な感じがした。

心臓をえぐられるようなそんな、感覚。胸騒ぎ。

ドクン、ドクン、と鼓動が速まり、足が止まる。


が、一歩ずつ、ゆっくり、歩く。

歩く。


ドアに手を掛ける。
小刻みに震える身体。


ドアを開く。



「………」

何もない。教室。

本当に何もない。



しかし、私の机には……、






パセリ、が……―――。



「……!!!」


恐怖で声が出ず、その場に立ち尽くす。

確かに、1つ、パセリが置いてある。


間違いじゃない。
正真正銘、私の机に……。

「……あ、…ぁ…う…」

言葉にならず、嗚咽を漏らす。

「……は、あ…ぇ……」

死。

私は死ぬ。死ぬんだ。


・・・・・
殺される…!











放課後。

授業に集中できることもなく、独り、ぼーっと席に座る。

私は、近いうち、に、死、ぬ、んだ。



席から立ち上がり、教室をうろつく。

「…はあ、はあ、…」

息が荒くなる。

「はあっ、はあッ、はッ、はっ!」

汗がだらだらと流れ出し、息が切れる。


バン!、と机を叩き窓に目をやる。

空は曇っていて、今にも雨が降りそうだった。

「…や、…っ」

嫌だ。死にたくない、死にたくないよ。

怖い。恐い。

嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。


「……嫌だッ!」



!!!

また、寒気がした。

いや、今度は背後から気配がする。


な、何……?!



ま、さか、まさか……!!





恐る恐る、ゆっくりと、振り返る。




そこには………、























「………っ!」







琴音が、立って、いた。



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