あなたのキスで世界は変わる
ラストキス*あなたのキスで世界は変わる
午前の部が終わって、午後の部が始まった。
前にいつもの4人で回ろうと話していたこと、覚えてたんだけど、しれっと一人教室を出た。
私がいたらきっとみんな楽しくない。
ポケットに手を入れて力なく歩く。
…あー、慣れない接客したからかすごい疲れた。
キャッキャ騒ぐ生徒たちと招待された人たちで埋めつくされた廊下。
なかなか進めない。
咄嗟に出し物がない渡り廊下の方に出るとふっとため息を吐いた。
「小川さん…?」
綺麗な透き通った声。
呼ばれたその声が、私が世界で一番キライな女の人の声だってすぐ気づくことができた。
「仁美先生…」
あの夏の日以来だ、こんな風に面と向かって向き合うの。
授業でも目さえ合わなかったから。