あなたのキスで世界は変わる


「ずっと迷ってた。こんな弱い俺が…あの時お前を選べなかったおれが、今さら東城の隣で笑うお前に気持ち言ってもいいのか」



先生の指が私の涙をぬぐう。

見上げると先生は笑った。


その一連の仕草さえもエロくて、いつもの先生だなって思った。



「こんな俺といるより、東城の隣にいた方が小川は幸せになれるんじゃないか…って。でもやっぱり俺が幸せにしてやりたいって思った」


「先生…」



ゴソゴソとポケットから先生は小さく折り畳まれた紙を出した。


それ……



「これ読んで引き止めなかったことをすげー後悔した。仁美じゃなくて小川を選んでやれなくて、すげー後悔した」



その紙を受け取ると開いた。


これ、私が先生の家を出る時に置いて来た手紙……


涙が溢れてくる。

これ、まだ持っててくれたの?



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