KATANA
第1章 【11:59】
NIPPON州TOKYO エリアS。

そこは元の渋谷で、今でも若者の流行の発信地となっている。

ジンとサオリの住んでいる街でもあり、今日もジンはサオリに振り回されながらその街を歩いていた。

『ジン!早く早くぅ~。お腹減って死にそうなんだからぁ~。』

サオリがジンの手を引きながら言った。
満面の笑みで自分の手を引くサオリの姿はジンにとっては小悪魔を通り越して悪魔に見えた。

《俺は手が取れそうだよ…。》

などと小さなツッコミを入れつつ、ジンはサオリに引きずられるがまま、一軒のイタリアンレストランに連れて行かれた。

二人の入った店の名前は“リストランテ・マルコ”。
ジンとサオリがよく行く店で、オーナーとも知り合いだった。

店内にはカウンター席が6つ、四人がけのテーブル席が4つあり、店の小さいさも手伝って、店内は隠れ家的な雰囲気がいつも漂っていた。

ジンもサオリもこの店に来ると不思議とリラックスできた。

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