弱小バスケ部の奇跡
ライトもイマイチなので、お日さまがライト代わりです。
お日さま沈んだら即撤収。
体育館に行くとドアが締め切られていて、中からドリブルの音が聞こえた。
錆びた重いドアを開くと、そこには息を切らした未希がドリブルをしていた。
「未希!」
「あー…個人練習時間終わった」
未希はボールをフロアに置き、水道に走って行った。
「……ね、あたし達、邪魔しちゃった感じ?」
「んー…かもしれない」
和香が苦笑する。
一応持ってきてたジャージに着替え、一応持ってきたバッシュを履き、ボール籠に入った、これまたボロいバスケットボールを手に取る。
ほんの少しひんやりした。
中学から始めたバスケだけど、イマイチ上達はしていない。
そもそもあたしは、球技ダメ。
ど下手くそ。
なのに、なんでバスケやってるんだろうか。
特にドリブルは苦手中の苦手。
ボールに嫌われてる。
下手くそなドリブルを2、3回ついたところで、未希が戻ってきた。
「蒼乃も連れてきたー」
そう言う未希の後ろに、制服姿の蒼乃がひょこっと顔を出した。
「おぉっ、蒼乃!」
「蒼乃ちゃん!」
「蒼乃センパーイ♪」
「それやめんか!」
あたし、すかさずタックル。