弱小バスケ部の奇跡




「お願いします!」



ナンバリングっていう、番号の入ったゼッケンみたいなのを着る。



コートに頭を下げて入っていこうとしたらT中の、多分、2年生だろうか。



「…あ、あのー」



呼び止められた。




「…はい? どうかしましたか?」


あたしが尋ねると、その子は少し小さくなって言った。




「…スコアは、M中は誰が担当ですか?」


「……すこあ?」


「はい。もしかして、誰もいませんか?」




『すこあ』というものがどういうのかわからないが、あたしは一応「はい」と答えておいた。



「…そうですか……」




話は終わった感じだから、あたしはやっとコートに入った。





「…なに話してたの?」


最後に整列したあたしに、隣に立つ和香が首を傾げた。



「すこあ、は誰が書くのって」


「ふーん。すこあ? なんだろそれ。まぁどっちにしろ誰もいないけどね!」



和香は笑って前に向き直った。







「それでは、T中対M中の練習試合を始めます!」


「「お願いします!!」」





「ジャンプボール!!」


T中の6番が大声で言う。





……ジャンプボール?



T中の7番が前に出たから、これはあたしが出るべき?




「っ和香!! ジャンプボール!」


「えぇっ?! 和香が?」



美凪からの指名に、和香は目を丸くして自分を指差した。



「いーから! ね!」



和香は渋々前に出た。





審判によって、ボールが高く放られる。





ボールが最高点に達したところで、T中7番は高く飛んだ。




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