君だけの星へ
ドア越しに、小さくふたり分の話し声が聞こえた。

それから階段をのぼる足音が、ゆっくりと近づいてくる。



「……望月?」



ドアの外から、控えめにかけられた言葉。

はい、とこたえると、彼は静かに姿を見せた。



「……よぉ」



ベッドに腰かけているわたしの前まで来て、桐生さんがそう口を開く。

らしくないその表情は、なんだか気まずそうで。

もしかして桐生さんも、あの日から最初になんて声をかけるべきか悩んだりしたのかな。そんなふうに考えて、思わず笑いそうになってしまう。

だけど、わたしは──。



「……桐生さん」

「あ?」



ぐっと下唇を噛みしめてから、顔をあげた。



「お話が、あります」
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