葉桜~late spring days

Sota side

 僕は4月が苦手だ。

 環境の変化が苦手なのもあるが、3年前のあの日から、4月が来るといつも以上に拓人のことを思い出す。

 「奏太は奏太の道を行け。自由にしてやる」

 拓人はどこかで分かっていたんだろう。でも、拓人が生きているなら、僕の自由より拓人もいる不自由の方を選択したかった。そんなことは、到底無理な話だけれども。

 元気だった拓人との、最後の会話。
 いなくなったことを実感したのは、1年後の同じ頃だった。

 だから苦手になってしまった。薄紅の花の色も、若葉の緑も、目を伏せると浮かぶあの言葉の前で遠く霞んでゆく。
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