葉桜~late spring days
 「無理ならいいよ、一人で行くから」
 「い、いや、無理じゃない。っていうか、突然すぎて。何で?」

 予測できていたが、言うべきか、言わぬべきか。言ったらどん引き?というか、どこから話せばいいのか、話したらどこまでも話がつながりそうだ。僕の想いは重たいと言われかねない。いろいろなことがぐるぐる回ってしまう。

 短い沈黙を破ったのは晴香の方だった。

 「彼女に何かプレゼント、とか?」

 黙っている間にいらぬ誤解。

 覚悟しているようで、僕の方が覚悟できてない。晴香、ごめん、時間をくれ。

 「いや違う。違うけど……明日でいいか?」

なんとか約束を取り付けた。少しだけほっとした。

ただ、これでよかったのか、ケリをつけられるのか、というか、ケリをつけなくちゃならないのか、いったい何にケリをつけるのか、行くだけでつくのか、どこからどこまで話すのか…

 晴香を好きな気持ちは、似ているからじゃない。だけれども、どうしたって拓人に似ていることから生まれる不安と重なれば、本当の自分の気持ちは一体どこにあるのか。
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