葉桜~late spring days
 あまりにまじめにそんなことを言うから、妙に緊張してしまった。うまく言葉が見つからない。別にただの同じパートの同じ学年の、たまたま隣の…要はただの友だちにそう言われてしまい、いったいなんなのか、頭が回らない。

 どうしよう。

 「無理ならいいよ、一人で行くから」
 「い、いや、無理じゃない。っていうか、突然すぎて。何で?」

 今度は奏太が黙った。自分が付き合ってほしいとか行ったくせに、なぜ黙る。さては、後ろめたいことなのか?それとも…あまり言いたくないし、聞きたくないけど…やっぱりその…

 「彼女に何かプレゼント、とか?」
 「いや違う。違うけど……明日でいいか?」

 私の発した言葉は、奏太の真面目な表情の前で一気に気化して消えた。そんな思いつめた顔しないでほしい。いろいろ、あれこれ、どうでもいいことを考えてしまう。

 「分かった。じゃあ、明日教えてね。で、どうするの?待ち合わせとか…」

 駅に着くまで、明日どうするかを打ち合わせて別れた。奏太の家は私と逆方向だ。お互い待ち合わせやすい、学校の最寄駅で、朝9時に待ち合わせることにした。
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