葉桜~late spring days
 大和に『あの頃に戻りたいよな』と言われたとき、一人じゃないことが分かったとき、心底ほっとした。

 「奏太だけじゃないんだよ。俺だって、家族だって、他の奴だって、みんな生きていたらって考える。奏太は一人じゃないんだからさ。たまには吐き出せ。」

 大和にそう言われた。

 晴香が話を続けた。

 「奏太、私でよければ、いてあげるから。たまには頼ってよ。仲間じゃん、私たちさ。」

 桜を見上げた晴香の言葉に、心の中の、奥の奥をつかまれた気がした。いてあげるという言葉をもらえた嬉しい気持ちと、仲間という言葉に含まれたもどかしい気持ちと一緒に。
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