黄昏に香る音色
金曜日だから、いつもよりお客が、多い。

恵子の知り合いが、手伝いに、来てるくらいだ。

店内が、ノリノリの内に、

ついに、

明日香の登場となる。

「明日香ちゃん」

恵子は、ドリンクを作りながらも、カウンターで待機する明日香にウィンクした。

「はい!」

明日香は、トランペットを手にし、お客が座るテーブル席を遠巻きにして、ステージまで歩いていく。

何の挨拶もなく、明日香はステージに上がたけど、

バンドは、演奏をやめることはなく、そのまま…

バイバイブラックバードのイントロを、奏でる。

(なるようになれ!)

明日香は覚悟を決めると、ステージのド真ん中で、

トランペットのマウスに、口づけした。



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