黄昏に香る音色
それは…奇跡っていうより、

当然のことだった。



同じ電車だったのだ。 


と言っても、駅は一つしかない。

あとは、方向だ。

山手の方へ向かうか…町の中心に向かうのか。

あたしは、中心へ向かう方だった。

駅数でいうと、五つ向こう。

ゆうは、もっと向こうの駅のようだ。

車両も五つあった。


その日は、いつもと違う車両に偶然乗った。

すると、ゆうがいたのだ。

満員電車に近い車内のドアの横に、ゆうはもたれていた。

あたしはその日……何とか乗り込むと、ドアの前にギリギリに立つことになった。

つまり、ゆうの前だ。

あたしは、ゆうに気付いたけど…ゆうはドアの窓から、風景を眺めていた。

神様のいたずらか……あたしが降りる駅まで、後ろのドアは開くことはない。

降りる駅まで、前にいる人達は、変わっていく。

少し空いたが、あたしは固まって、ドアの前から動けなかった。

だって、数センチ隣には、ゆうがいたから。

あまりに緊張して、何とかドアにもたれることで、何とか立っていた。



だから、降りる駅についた時、ドアが開いた瞬間、

あたしは、背中からよろけてしまった。

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