黄昏に香る音色
「どうして、離れるんですか?」

明日香の質問に、狼狽える優一。

すると…いきなり、紗理奈が、席を立った。

そして、

優一の隣に座った。

びっくりする優一。

「明日香さん。ゆうさんにビールを…あたしのおごりで!」

優一はさらに、驚いた。

紗理奈は、優一の方を体を向けた。

そして、素直に頭を下げた。

「この前は、ごめんなさい。なんか…一方的に、切れちゃって…」

「もういいよ」

紗理奈は、こちらを見ようとしない優一の横顔を見つめ、

視線を、前に置いてあるビールに移した。

「あたしが、目標にしてた人が死んじゃって…。どうしたらいいのか、途方にくれてたら…思い出したの…あなたのこと」

視線は、グラスのままだ。

「だから、今日ここに来たの…。あなたに会えるかなと思って…」


「彼氏がいるんだろ」

優一の声は冷たい。

「もういないわ」

「いい加減だな。彼氏と別れたから、俺かよ」

「彼氏じゃない。好きじゃなかったし…」

「誰でも、いいんじゃないか!」

優一が叫んだ。

叫んだ後、

明日香が、いることに気づき、口をつぐんだ。

「そうよ。あたしは、いい加減な女。だけど」

紗理奈の目に、涙が溜まる。

「それを、なおしたいの!ちゃんとしたいのよ!でも…1人じゃどうしたらいいのか…わからないのよ!どうやったら、普通になれるか……わからないのよ!」
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