黄昏に香る音色
会場を後にする明日香達。


明日香は、やっと解放されて、大きく背伸びをした。

「帰ろうか!日本へ」

全員が頷く。

明日香は、軽やかに歩き出す。

「また…この国には来ることになる」

啓介は呟いた。

「お前らはな」

阿部達は、明日香と啓介を追い抜く。

「え?おじさん達は…」

「馬鹿。俺達は年だ。何度も、こんな国に来れるか」

「それに…日本には、本当のメンバーが待ってるんだろ」

「これが限界」

3人は、歩き続ける。


啓介は立ち止まり、3人の背に頭を下げた。


明日香が、そんな啓介に近づき、腕を絡めた。

「おい!」

戸惑いながら、2人は歩きだす。

「ねえ、啓介…あたしもしばらくは、ライブできなくなる」

明日香の言葉に、啓介は驚く。

「どうして?」

明日香は、啓介から離れた。

「まさか…音楽をやめる…」

「やめないわよ」

「じゃ、どうして…」

「わからない?」

啓介は焦った。

「ま、まさか」

啓介は、明日香に近づき、

両肩を抱き締めた。

明日香は、嬉しそうな顔をする。

「やっぱり、どこか悪いのか!」

明日香は、啓介を振り解くと、

「やっぱり…男の人には実感ないのかな…」

< 430 / 456 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop