黄昏に香る音色
激しい雨は、夕焼けを隠した。

息を切らせて、渡り廊下についた明日香の前で、

雨に濡れた渡り廊下が、普段とは、違う姿を見せていた。

雨に濡れ続ける…手摺り。

誰もいない…渡り廊下。

ゆうはいなかった。

ゆうがいない。

それが、

どんなに寂しいことなのか…

明日香は、立ちすくんだ。

ただの雨なのに…

廊下を、濡らすだけではなく、

明日香の心も、濡らしていた。




夕焼けがない夕方。

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