ヒミツの恋【短編集】

始まり

結局はお父さんと二人で帰宅することになった。




お母さんに電話して家族でディナーとお父さんは提案したけれど、夕飯の支度をしたお母さんに却下され、しょんぼり肩を落として歩くお父さん。






私も、和弘とまともに話せずがっくりしながらお父さんの横を歩く…






二人で落ち込んで帰宅したのに、お母さんはニコニコ迎えてくれた。





『もう少し早く連絡くれれば良かったのに。』






そう言いながら、食卓へ料理を並べてくお母さん。






『突然裕美が来てくれたもんだからなぁ…。父さんが来るまで谷口君が裕美の相手してくれてたみたいでな。今度またお礼に夕飯食べに来てもらうか!』





私が和弘に会いに行ったとは、気付きもしないお父さんは上機嫌でお母さんに話し掛ける。






『あらそうなの?谷口さん、お母さんの料理美味しそうに沢山食べてくれるから来てくれると嬉しいわぁ!ね?裕美も谷口さんいい人だと思うでしょう?』







「う、うん…」






意味深な笑みを浮かべて私に話しかけるお母さん…






…私が谷口さんの事、好きだって気付いてるっぽいんだよね…
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