あの加藤とあの課長
「課長は、かなり吸う方ですよね。」



カウンターテーブルに座ってそう言うと、課長はただ頷く。

台所からは何やら美味しそうな香りがする。



「まぁ、外回りがあるときは吸わないな。」

「前に聞いた気も。」



確か、煙草臭い営業なんて嫌だろって言われたような気がする。

私の前にトン、と皿を置くと、自分は私の隣に腰を下ろした。


目の前のお皿にはサンドウィッチにウィンナー、スクランブルエッグ。

そして、ホカホカの紅茶。



「課長って料理できるんですねー。」

「これくらい普通だろ。」



残念ながら、直人はこれすらできない。だから私が作らないとコンビニ弁当で終わりだ。

そういえば、朝ご飯なんて食べるのすごい久しぶり。



「……訊かないのか?」



突然そう言うから、私は課長をチラリと横目で見た。



「別に、予想はつくので。」



課長は昨晩のことを言っているんだろうけど、自分の晒した醜態なんて想像がつくし。

課長とは何もなかったと断言できる。
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