あの加藤とあの課長
「これはまた…。」



隣の晋ちゃんが私の机を見て声を漏らす。山積みの書類たち。



「んー、まあ、なんとかなるんじゃないかな。」



そう笑うと、晋ちゃんはやれやれと肩をすくめて笑いながら言った。



「係長補佐頑張るよ。」



私のキャパだけでは無理でも、晋ちゃんがカバーしてくれるなら大丈夫。

そう思える。


パソコンを起動させると、髪をポニーテールにし、眼鏡をかけ仕事中の基本スタイルになった。


メールをチェックしていると、クライアントからのメールに混じって、一通、社内メールが入っていた。

時間を確認すると、メールがきたのは今さっき。


不思議に思いながらメールを開くと、その内容にしばし呆然とした。



「どしたの?」



と隣の席の晋ちゃんが画面を覗き込んでくる。



「……課長補佐から。」

「……マジ?」



メールには『ごめんね』と一言。それが意味するのは、ただ1つ。

私に白羽の矢が、立ったということだろう。



「…僕、昇格できるかなあ?」

「知らない…。」



私はなんだか目眩がしそうだった。



「今晩はパーっと呑みに行こうよ、久々に直人と3人で!」



とスリーピースを作る。

笑顔で頷く私に、晋ちゃんは「連絡しておくね」と言った。
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