あの加藤とあの課長
「シスコンな弟に認められるには、どうすればいいんだろうな…。」



私の髪を弄びながら、唐突に源が言った。

もう片方の手は私のお腹に回されていて、私は背中に源の温もりを感じていた。



「帝?」

「あぁ。」



お腹に回された源の手に手を重ねると、私はその手に指を絡めた。



「認めてくれてるから、大丈夫だよ。」

「は?」



後ろの源が、上半身を起こしたのを感じた。

そんな源が可笑しくてクスクス笑ってしまった。源が戸惑っているのを感じる。



「認めてるよ。」



あの、拗ねた表情。

どこで見たのかと思ったら、初めて帝と恵也が会ったときだ。



「帝に訊いてみたら分かるよ。」

「…そうか。」



上半身を元の体制に戻したかと思うと、後ろから私の体を思い切り抱き締める源。

お腹周辺に対する配慮も、してくれてる。



「源?」

「…俺、正直お前が羨ましいんだ。」

「羨ましい?」



首だけで振り返ると、源は柔らかく微笑んでいた。



「俺、母親いないだろ?」

「うん。」

「兄妹がいたわけでもないし…。だから、お前が羨ましい。」

「…そっか。」



源も寂しかったんだもんね…。



「じゃあ弟いっぱいだね、感覚としては。」



帝に、煌。あ、でも戸籍上は煌がお義兄ちゃんか…。

なんて考えてニヤニヤしていた。


最近、け、結婚を意識することが増えたような気がする。

今すぐじゃなくていい。
いつか、そうなれたらいいなぁ。なんて。
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