あの加藤とあの課長

思いは海を越えて

「それじゃあ、行ってくる。」

「うん。」



空港に源を見送り来た私。
今日から1ヶ月、源は海外研修に行く。


よくよく考えてみれば海外研修なんてすごいことなのに。

私はそれを素直に喜ぶことができなかった。



「いってらしゃい!」



だからせめて、見送りくらいは、泣かずに笑顔で。



「敏ちゃんにもよろしくね。」

「あぁ。」



源よりも一足先に渡米した敏ちゃん。

見送りに行こうと思ったのに、時差の関係だなんだとか言って平日に発ったもんだから、見送ることができなかった。


だけど、源の滞在先と敏ちゃんの新居が結構近いらしくて、2人はすでに向こうで会う約束までしてるんだとか。

なんだか、妬ける。



「自分のことも、おろそかにするなよ。」

「うん。」



笑顔で頷いたその時、搭乗案内のアナウンスがかかった。



「…そろそろ、行くな。」

「…うん。」



寂しくないと言ったら、大嘘。

だけど、たった一月じゃん。このくらい我慢できなくて、どうするの。
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