あの加藤とあの課長

君が変えた

時は流れ、いつの間にかクリスマスイヴになっていた。

今年はたまたまクリスマスイヴが日曜日で、仕事は休みだった。


あれから、社長には再度謝罪され、源と社長の娘さんのお見合いは正式に取り消された。



「源…?」



車を運転する源を、私は心配になりながら見つめていた。

夕方突然「ドライブに行こう」と言い出した源は、いつしか山を登り始めた。



「ん?」

「あの、どこ行くの?」



この辺りには来たことがないし、特別何があるわけでもないから、完全に不安だ。

どこに連れていかれるの…?



「さぁ。」



源が意地悪く笑うから、私は頬を膨らませてシートに体を預けた。

この笑顔は、確実に確信犯。任せておけば大丈夫なのは、ちゃんと分かってる。


あれ以来、なぜかとても気合いをいれて仕事をしている源。

正直、不思議だ。



「最初はただの外見だけの女だと思ったんだが。」

「何? 急に…。」



急に言いだした源を怪訝そうに見つめながらも、源の話に耳を傾ける。



「いつから、こんなに夢中になってたんだろうな…。」



あまりに浸りながら言うもんだから、ついつい笑ってしまった。



「本当…、私も、こんな風になるだなんて思いもしなかった…。」
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