御子の恋


俺はさくらを呼んだ。


「…んで⁇何で屋上⁇」

さくらが不機嫌になるのも分かる。

夜なのに屋上。


真夏だっちゅうのに寒い。


さくらは仕切りに腕をこすっていた。


「話…あるんじゃないの⁇」


「あぁ。お前…何を隠してんだ⁇」


ビクッとさくら。


「何も…隠してない。」


キョどるさくら。


「あの後から変だ。赤雷だのいきなり居なくなるんだぞ⁇」


「…あんたには関係ない。」


やっぱし来たか。


「あっそ。ならいーや。じゃ一つ聞かせて。」


首を傾げるさくら。



「あいつと…何があったんだ…⁇」





困惑するさくら。




違う…言いたくない…。




口が勝手に動いた…。



「嫌ならいーよ。言わなくて。悪かったな…。」


「いきなりそれ⁇聞いたくせに聞かないんだ⁇」


「嫌なんだろ⁇」



「でも知りたいんだろ⁇私のことを…サキュバスに何を言われたか知らんけど…⁇」


見ていたんかいな…。



「別に⁇」


「蓮。ここじゃ寒い。別のとこに移動すんぞ。」


はっ⁇


「なーにぼけっと突っ立ってんだよ。行くよ。」


睨むさくら。


俺は急いで頷いてさくらの後を追った。





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