御子の恋


あいつは呆然。

「…桜の蕾……。」

そう…桜の蕾が俺を守って居た。

俺の目の前には…目一杯広がる銀色の髪。


髪には…バカデカイ桜の花がついていた…。



「…相変わらずの暴れっぷりね…。風花…。」

さくらは…プリンセスの称号である扇子を顔に近づけて言った。

さくら…!!

「久しぶり…。風花。」

「さくら…。」


感動の再会か…





と思いきや…火花散らしてんじゃねぇかよ!!


「風花。親は?」

「知らないわ。沙羅だっけ?救いに来たの?」

「違う。蓮に呼ばれた。」

あ…桜花護符か…。

「蓮。グッドタイミングね。遅れていたら死んでいたよ。」

真顔で言うなぁ!!

まぁ、その通りか…。

確かに…遅れていたら…俺は死んで居ただろう…。


「沙羅を何処にやったの?」

「うふふ…やってみなさいな…。あはは!」

風花は消えた。

「リミットは…五時間か…。」

五時間?!

「何で?!」

「風花は競いたがるの。能力は使えないよ。自力でやるか。私から離れないでね。」

自力で?!

ここ…十階もあるんだぞ?!

今は一階で部屋はたくさんある。


探せるのか…?


「何してんのよ。沙羅を救うんでしょ?私よりも…。」

最後の言葉はかすれて居た。

だけど…俺には丸々聞こえて居た。



やっぱ…言ってやろう…。



< 55 / 136 >

この作品をシェア

pagetop